綿あめ
私を繋ぎ止めるものを1つずつ剥がしてしまいたい。
高所が怖かったのに、最近は下を覗くようになった。川や街を眺めるのは、怖がる自分を確かめたいからだ。
虚無がやってくる。みんなこの虚無を抱えて生きているの?それとも感じないで生きていけるの?
楽しいことが増える度、それを感じるために生きてきたんだと思えた。それを感じられてよかったと、思えることに感謝した。
だけど、楽しさの上限値が上がることで、舌打ちだらけで無味な日常に苦しさが生まれるようになった。人間は最高を求める。いちばん記憶に残っているものを追いかける。一度味わった快楽を求め続ける。幸せなんてなくてよかったのに。
まともな親に育てられず、まともに親を愛せなかった自分は きっと幸福が似合わない。私がそれを作ろうとしても きっと歪な形をしているんだろうな。そんな苦しみを分かって欲しいと世界にせがみ続け、世界を恨み続け、そりゃあこんな人間じゃあーねー、と自分を嘲笑う。
全ての幸福は失われる幸福だ。
綿あめみたいなドーパミン。
空っぽのオキシトシン。